小川 未明
夏とおじいさん
ある街に、気むずかしいおじいさんが住んでいました。まったく、独りぽっちでおりましたけれど、欲深なものですから、金をためることばかり考えていて、さびしいということなど知りませんでした。
「おじいさんは、おひとりで、おさびしくありませんか?」と、独り者のおじいさんの身の上を思って、なぐさめるものがあると、
「仕事にいそがしいから、そんなことは考えませんよ。」と、おじいさんは、さびしいとか、さびしくないとかいうのは、閑人のいうことだとばかりに返事をしました。
「それは、お元気で、なによりけっこうなことです。」と、たずねた人は、金がもうかれば、さびしくないものとみえる、さすがに、金持ちはちがったものだと思いました。