小川 未明

森の中の犬ころ

町のある酒屋の小舎の中で、宿無し犬が子供を産みました。

「こんなところで、犬が子を産みやがって困ったな。」と、主人は小言をいいました。これも、小僧たちが、平常小舎の中をきれいに片づけておかないからだと、小僧たちまでしかられたのであります。

「この畜生のために、おれたちまでしかられるなんて、ばかばかしいこった。犬の子を河へ流してきてしまえ。」と、小僧たちは話をしました。

「そんな、かわいそうなことをするもんじゃない。目があいたらどこかへ持っていって捨てておいで。」と、かみさんがいいました。

青空文庫の作品カード