小川 未明

秋のお約束

まあちゃんが、「寒い、寒い。」といっていましたときに、お母さんは、子供たちのきものをぬいながら、

「もう、あちらのけやきの木の枝がいろづいたから、じきにあたたかくなりますよ。」と、おっしゃいました。

まあちゃんは、お母さんにつれられて幼稚園へまいります途中、ふと頭の上をあおぎ見ますと、うす緑色のやわらかなこまかな葉が、いっぱいけやきの木の枝から出て、おもしろそうに笑っていました。

「お母さん、あんなに葉が出た。」と、いつかお母さんのいわれたことを思いだしたのです。

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