小川 未明
頭をはなれた帽子
三郎は、往来で、犬と遊んでいるうちに、ふいに、自分のかぶっていた帽子をとって、これを犬の頭にかぶせました。
ポチは、目が見えなくなったので、びっくりして、あとずさりをしました。それに、坊ちゃんの大事な帽子をよごしたり、いためたりしては、わるいと思ったので、遠慮するように見えたのであります。
「ポチ、帽子をかぶって、歩くんだよ。」と、三郎は、いいました。
「私は、帽子はいりません。」と、答えるように、ポチは、尾をぴちぴちと振って、帽子を頭の上から落としました。
小川 未明
三郎は、往来で、犬と遊んでいるうちに、ふいに、自分のかぶっていた帽子をとって、これを犬の頭にかぶせました。
ポチは、目が見えなくなったので、びっくりして、あとずさりをしました。それに、坊ちゃんの大事な帽子をよごしたり、いためたりしては、わるいと思ったので、遠慮するように見えたのであります。
「ポチ、帽子をかぶって、歩くんだよ。」と、三郎は、いいました。
「私は、帽子はいりません。」と、答えるように、ポチは、尾をぴちぴちと振って、帽子を頭の上から落としました。