小川 未明
奥さまと女乞食
やさしい奥さまがありました。あわれな人たちには、なぐさめてやり、また、貧しい人たちには、めぐんでやりましたから、みんなから、尊敬されていました。
冬になると雪が降りました。そして、いままで、外で働いていたものは、仕事をすることができなくなりました。家にいてさえ、寒い日がつづいたのであります。
「ああこんなような日には、食べるものもなく、また、たく薪もなく、困っているものがあるにちがいない。それを思うと、私たちはしあわせだといわなければなりません。」
奥さまは、外を見ながら、こんなことを考えていられました。すると、窓の下を旅人がわらじをはいて、歩いてゆきます。また、重い荷をそりにつけて、男が、うなりながら引いてゆきます。つぎには、あわれな女乞食が、子供をおぶって、あちらからやってきましたが、日ごろから、やさしい奥さまが、窓をのぞいていられたので、頭を低く下げて、恥ずかしそうに、