小川 未明

船でついた町

たいへんに、金をもうけることの上手な男がおりました。人の気のつかないうちに、安く買っておいて、人気がたつとそれを高く売るというふうでありましたから、金がどんどんたまりました。

土地でも、品物でも、この男がこうとにらんだものは、みんなそういうふうに値が出たのであります。この男と、こういうことで競争をしたものは、たいてい負けてしまいました。そして、この男は、いつかだれ知らぬものがないほどの大金持ちとなったのであります。

ある年、たいそう不景気がきたときです。あわれな不具者が、この金持ちの門に立ちました。

「どうぞ、私をご主人にあわせてください。私は、もとあなたの会社に使われたものです。」といいました。

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