牧野 信一
晩春日記
(四月――日)
また、眼を醒すと夕方だ。とゞけてある弁当籠を開いてウヰスキーを二三杯飲むと、はつきり眼が醒る。鰯には手が出ない。セロリを噛む。
手紙を書くので明方までかゝつてしまつた、春の晩、灯の下で手紙を書く――これは、いくつになつても余の胸を和やかにさせる、春になると君は手紙を寄す人だ……などゝ云はれたことがある。
(次の日)
牧野 信一
(四月――日)
また、眼を醒すと夕方だ。とゞけてある弁当籠を開いてウヰスキーを二三杯飲むと、はつきり眼が醒る。鰯には手が出ない。セロリを噛む。
手紙を書くので明方までかゝつてしまつた、春の晩、灯の下で手紙を書く――これは、いくつになつても余の胸を和やかにさせる、春になると君は手紙を寄す人だ……などゝ云はれたことがある。
(次の日)