牧野 信一

小田原の夏

忘れる

「暑さ、涼しさの話。」

おや/\、もう夏なのか!

僕は忘れてゐた。――それで、壁の鏡をのぞいて見ると僕の額は玉の汗だ。なるほど僕は薄いシヤツ一枚だ、白いパンツだ。いつ頃僕はこんな身なりに着換へてゐたことか?

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