牧野 信一

断想的に

葛西善蔵氏の――。

斯う誌しただけで私は、この十幾日を呆然と打ち過した。合憎、また雨ばかりが好く降り続いたものだ。

葛西善蔵氏の――何から書いたら私はこの一文を適度に纏め得るか――私は迷つてしまつたのである。誌すならば、今日は、何か総体的に形式を重んじた古流の一文を念としたのであるが、それには私の筆は余りに不自由である。

論や批評は、殊に今日は苦しい。

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