牧野 信一
ひとりごと
(十月十六日)
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きのふ、おとゝひ、さきおとゝひ――と、あゝ、何といふ浅ましさであらう、嫌はれ、軽蔑され、憎がられて、ウマクもない酒をのんでの気違騒ぎ、あゝ、もう厭だ、断然、酒は御免だ。ペンを執らうにも、体全体がガタ/\とふるへてゐて、一向に埒はあかぬ。
メフイストフエレス「先づ第一に飲助達に御紹介申しませう。さうするとあなたは必ず此世は大変簡単に渡られるものだといふ合点がゆくに違ひない。奴等と来たら毎日毎日お祭り騒ぎの大浮れで、恰も猫が自分の尻尾に戯れまはるかのやうに、少しばかりの頓智に自惚れて狭いところをぐる/\廻つて居るのです。訴へるほどの頭痛でもない限り、酒場の亭主に信用のある限りは、何の苦労もなくあゝした態の大浮れです。」