牧野 信一
心配な写真
「兄さんはそれで病気なの? 何だか可笑しいわ。まるで病気ぢやないやうだわね。」
「さうね、そんなのなら私達もちよつとでいゝからなつて見たいわね。」
二人の少女は、云ひ合せたやうにホヽヽヽと笑つて私を見あげました。二人とも私の従妹です。名前ですか――名前は遠慮しませう。何故なら私は、正直にこの二人の少女を描写しようと思ひますから。正直に書けば必ず怒られるに相違ありません。怒られたつて怖くもないけれど、泣かれると困りますからね。
「何だ失敬な! 他人の病気のことなんて、解りもしない癖に。」と私は云ひました。