小川 未明

うさぎと二人のおじいさん

ふたりの気むずかしい、おじいさんが、隣り合わせに住んでいました。一人のおじいさんは、うさぎを飼っていました。白いのや、黒いのや、なかには、毛色の変わった珍しいのやらがおって、それを大事にして、我が子のように、めんどうを見てやっていましたが、隣のおじいさんが、毎朝、大きなせきをして、うさぎを驚かすので、そのたびに、眉をひそめて、口のうちで、小言をいっていたのです。

また、こちらのおじいさんは、隣の家では、ろくろく庭も広くないのに、うさぎなどを飼っているので、まだ暗いうちから、うさぎがけんかをして、キッ、キッ、といったりする、そのたびに目をさまさせられて、うるさいことに思っていました。

「こんな、狭い場所で、あんな生き物などを飼うばかがあるものか……。」と、せきをするおじいさんはいったのです。

おじいさんが、こういって、怒るのも無理はない。よく、うさぎが、垣根の下の方のすきまから、紅い目と、とがった唇を出して、こちらのおじいさんが、丹誠している草の芽や、盆栽の葉などを食べたからでした。

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