柳田 国男

野草雑記・野鳥雑記

野鳥雑記

一

暫らく少年と共に郊外の家に住むことになって、改めて天然を見なおすような心持が出て来た。少なくとも今までの観察の、大抵は通りすがりのものだったことを感ずる。旅は読書と同じく他人の経験を聴き、出来るだけ多くの想像を以て、その空隙を補綴しなければならぬ。自分の如き代々の村人の末でも、ほんの僅かな間の学問生活によって、もうこれほどまでに概念のしもべになろうとしている。これは忘れたというよりも最初から談ろうとしなかったためであろう。今において始めて野の鳥の徒らに饒舌でなかったことを考えざるを得ない。

二

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