小川 未明

魚と白鳥

河の中に、魚が、冬の間じっとしていました。水が、冷たく、そして、流れが急であったからであります。水の底は、暗く、陰気でありました。

魚の子供は、長い間、こうして、じっとしていることに退屈をしてしまいました。早く、水の中を自由に泳ぎたいものだと、体をもじもじさしていました。

けれど、母親は、よくいい諭したのであります。

「もうすこし辛棒しておいで、じきに春になる。そうすれば、水の上が明るくなって、水もあたたまりますよ。そうなったら、自由に泳ぐことを許してあげよう。」

青空文庫の作品カード