小川 未明
河水の話
河水は、行方も知らずに流れてゆきました。前にも、また、後ろにも、自分たちの仲間は、ひっきりなしにつづいているのでした。そして、どこへゆくという、あてもなしに、ただ、流れている方に、みんなはゆくばかりでした。
前にいったものは、笑ったり、わめいたり、喜ばしそうに踊ったりしていました。はやく、まだ見ない、めずらしいことのたくさんある世界へゆきたいと、あせっているようにも思われたのです。
ほんとうに、それは、遠い、また、長い旅でありました。すべてのことに終わりがあるように、この旅も、いつかは尽きるときがあるでありましょう。
河水は、昼となく、夜となく、流れてゆくのでした。