小川 未明
こまどりと酒
夜おそくまで、おじいさんは仕事をしていました。寒い、冬のことで、外には、雪がちらちらと降っていました。風にあおられて、そのたびに、さらさらと音をたてて、窓の障子に当たるのがきこえました。
家の内に、ランプの火は、うす暗くともっていました。そして、おじいさんが、槌でわらを叩く音が、さびしいあたりに、おりおりひびいたのであります。
このおじいさんは、たいそう酒が好きでしたが、貧しくて、毎晩のように、それを飲むことができませんでした。それで、夜業に、こうしてわらじを造って、これを町に売りにゆき、帰りに酒を買ってくるのをたのしみにしていたのであります。
野原も、村も、山も、もう雪で真っ白でありました。おじいさんは、毎晩根気よく仕事をつづけていたのであります。