小川 未明

花咲く島の話

この広い世界の上を、ところ定めずに、漂泊している人々がありました。それは、名も知られていない人々でした。その人々は、べつに有名な人間になりたいなどとは思いませんでした。彼らの中には、唄うたいがあり、宝石商があり、また、手品師などがありました。

ある晩のこと、港町の小さな宿屋に、それらの人々が泊まり合わせました。

「私などは、こうして幾年ということなく、旅から旅へ、歩きまわっています。」と、手品師がいいました。

「私とて、同じことです。」と、宝石商はいいました。

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