小川 未明
風船球の話
風船球は、空へ上がってゆきたかったけれど、糸がしっかりととらえているので、どうすることもできませんでした。
小鳥が、窓からのぞいて、不思議そうな顔つきをして、風船球をながめていました。
「小鳥さん、おもしろいことはありませんか。」と、風船球はたずねました。
「おもしろいことですか、それはたくさんありますよ。いま、あちらの町の上を飛んできますと、にぎやかな行列がゆきました。お祭りがあるのでしょう……。また、あちらの港へは、大きな汽船がきて泊まっています。それは、りっぱな船でした。これから、私は、もっとおもしろいことをさがそうと思っているところです。」と、小鳥は答えたのであります。