小川 未明
春近き日
お母さんが、去年の暮れに、町から買ってきてくださったお人形は、さびしい冬の間、少女といっしょに、仲よく遊びました。
それを、どうしたことか、このごろになって、お人形は、しくしくと泣いて、お嬢さんに願ったのであります。
「どうか、私をお母さんのところへ帰してください。」と申しました。
少女は、どうしていいかわかりませんでした。お人形のお母さんがどこにいるかということもわからなければ、せっかく仲よく遊んだお人形に別れることも悲しかったからです。
小川 未明
お母さんが、去年の暮れに、町から買ってきてくださったお人形は、さびしい冬の間、少女といっしょに、仲よく遊びました。
それを、どうしたことか、このごろになって、お人形は、しくしくと泣いて、お嬢さんに願ったのであります。
「どうか、私をお母さんのところへ帰してください。」と申しました。
少女は、どうしていいかわかりませんでした。お人形のお母さんがどこにいるかということもわからなければ、せっかく仲よく遊んだお人形に別れることも悲しかったからです。