槙本 楠郎
栗ひろひ週間
「おい/\、みんな、よう聞け。今日はもう三時まへだから、通草をとつたり、野葡萄をとつて食つてちや、あかんぞ。今日は、一番おしまひの日だからな。一人が四合以上ひろふんだから、ひろつた栗は、一つだつて食つちや、あかんぞ。」
鎮守の裏山の雑木林にさしかゝると、もうあちこちに、栗の木が見えだしました。六人づれの先頭になつてゐた高一は、坂道をわざと後向きに登りながら、ガヤ/\さわぐみんなに、かう云ひました。この六人の男の子たちは、「栗ひろひ週間」のためにつくられた、五年生の第四組の者で、高一はその組長だつたのです。
「だつて高ちやん、おれはこの前、誰よりも一番よけいにひろつたんだぞ。ちつとぐらゐ遊んだつて、がまんしてくれよウ。」
さつきから野葡萄ばかりさがしてゐた金太がさう云ふと、銀色の穂薄で頭をたゝき合つてゐた勇治と庄吉とが、すぐ口をそろへて云ひました。