槙本 楠郎

先生と生徒

一

 今日は、ひとつ、私の子供の時分――小学校時代のことを話しませう。私は八つから小学校へ上りましたが、その年が丁度「日露戦争」の終つた年でしたから、もうよつぽど古いことです。

その頃、私の村には小学校が二つありましたが、大きい方も小さい方も、どちらも尋常科だけで、高等科は隣村の町にしかなかつたのです。しかもその頃の尋常科は四年まででした。それで卒業なんです。

私の上つたのは小さい方の、「就徳尋常小学校」といふので、先生がたつた一人つきり、生徒が、一年から四年まで合せて五十人ほどでした。校舎も一つで、教室も一つきりでした。

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