槙本 楠郎
母子ホームの子供たち
一
にぎやかな電車通の裏に、川に沿つた静かな柳の並木道があります。その最初の石橋を渡ると、すぐ前に白い三階の大きな建物が、青青とした庭木に包まれて聳えてゐます。
五年生の清三は、かんかんてりの真夏の西日を浴びて、元気よく学校から帰つて来て、その石の門をはいると、病院のやうな広い玄関で、同じやうに今学校からかへつたばかりの、六年生の睦子にあひました。
「あら、おかへり。清ちやん、それ、なに。」
槙本 楠郎
一
にぎやかな電車通の裏に、川に沿つた静かな柳の並木道があります。その最初の石橋を渡ると、すぐ前に白い三階の大きな建物が、青青とした庭木に包まれて聳えてゐます。
五年生の清三は、かんかんてりの真夏の西日を浴びて、元気よく学校から帰つて来て、その石の門をはいると、病院のやうな広い玄関で、同じやうに今学校からかへつたばかりの、六年生の睦子にあひました。
「あら、おかへり。清ちやん、それ、なに。」