槙本 楠郎
プールと犬
公園の中の子供プールには、朝八時ごろから、もう泳ぎがはじまつてゐました。
そんなに早く来る子は、みんな男の子ばかりで、たいてい威勢のいゝ、黒いふんどしをしめてゐました。どんなに深いところでも、やつと一メートルぐらゐしかないので、あんまり奇抜な泳ぎは出来ません。それに、面白い遊びをしようにも、まだ見物してくれる者が来てゐないのです。
黒いふんどしの子供たちは、犬かきや、蛙泳ぎや、平泳ぎを、唇が青くなつてガタ/\ふるへるまで、練習します。
九時・十時になると、ギラギラする日が照りだして、公園の木かげにも、子供プールのまはりにも、だんだん人が集まつて来て、色さまざまの日傘や帽子の、きれいな花が咲くのです。