小川 未明

幸福の鳥

寒い、北の方の小さな町に、独り者の男が住んでいました。べつに不自由はしていなかったが、口癖のようにつまらないといっていました。

「もっと、おもしろく、暮らされないものかな。」と、知った人にあうごとに、たびたびもらしていました。

また、同じ町に、かわったおじいさんが、住んでいたのです。このおじいさんは、昔の古い本を見ていました。なんでも、当世のことよりか、昔のことが好きで、古い本に書いてあることを信ずるというふうでした。そして、いつも、縁の太い大きな眼鏡をかけていました。

「人間の造った、機械には狂いがあるが、お日さまのお歩きなさる道にちがいはない。」といって、おじいさんだけは、日時計を置いて、時刻を見たので、万事、おじいさんのすることはそういうふうだったのです。

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