小川 未明

親木と若木

なんでも、一本の木が大きくなると、その根のところに、小さな芽が生えるものであります。

孝ちゃんの家の垣根のところに、山吹がしげっていました。ふさふさとして、枝はたわんで黄金色の花をつけていました。日の光は、広々とした庭の面にあふれていましたから、この花の上をも照らしたのであります。花には、みつばちがたかり、暖かな風が、おだやかに接吻していました。

この山吹の根もとには、新しい芽が、幾本も土を破って頭を出していました。そして、自分たちの頭におおいかかっている、幾つかの枝のすきまから、かすかにもれてくる日の光を受けて、早く、大きく伸びて、枝と枝の間を分けて、自分たちも広い世界に出ようとしたのであります。

山吹は、子孫のしげることを誇りとしていました。もっと、もっと株が大きくなって、みんな、輝く黄金色の花をつけたら、どんなにみごとなことであろうと思うと、自から、その日の有り様を空想して、うっとりとせずにはいられませんでした。

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