小川 未明

お父さんの見た人形

娘の父親は、船乗りでしたから、いつも、留守でありました。その間、彼女は、お父さんを恋しがっていたのです。

「いまごろは、どこに、どうしておいでなさるだろうか?」

こう思うと、少女の目には、はてしない青い海原がうかびました。そして、その地平線を航海している、汽船の影が見えたのであります。

「もう、いくつ眠たら、お父さんは、お帰りなさるだろう?」

青空文庫の作品カード