小川 未明
温泉へ出かけたすずめ
雪が降って、田や、畑をうずめてしまうと、すずめたちは、人家の軒端近くやってきました。もう、外に落ちている餌がなかったからです。朝早くから、日暮れ方まで、窓の下や、ごみ捨て場などをあさって、やかましく鳴きたてていました。
そのうちに、どこからか、彼らに向かって、空気銃をうったものがあります。一羽のすずめは、羽の付け根のあたりを傷つけられました。そして、もうすこしでその場にたおれようとしたのを、がまんして、やっとあちらの森まで、息をせいて飛んでいきました。
ほかのすずめたちも、この思いがけないできごとに出あって、どんなにおどろいたかしれません。
「ああ、怖ろしかった。」といって、あるものは、畑の中のかきの木の枯れ枝に止まり、あるものは、屋根の上に飛んでいって、目をみはっていました。