小川 未明

酒屋のワン公

酒屋へきた小僧は、どこかの孤児院からきたのだということでした。それを見ても、彼には、頼るものがなかったのです。

ものをいうのにも、人の顔をじっと見ました。その目つきはやさしそうに見えたけれど、なんとなく、不安な影が宿っていました。

「もしや、自分のいったことが、相手の心を傷めて、しかられるようなことはないかしらん?」と、思ったがためです。

世間の心ある親たちは、そのようすをながめたときに、「親のない子は、かわいそうなものだ。」といいました。

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