小川 未明
迷い路
二郎は昨夜見た夢が余り不思議なもんで、これを兄の太郎に話そうかと思っていましたが、まだいい折がありません。昼過ぎに母親は前の圃で妹を相手にして話をしていたから、裏庭へ出て兄を探ねると、大きな合歓の木の下で、日蔭の涼しい処で黙って考え込んでいるのであります。二郎は心配そうに傍に寄り添うて、
「兄さん、何を其様に考えているんです、何処か悪いんでありませんか。え、兄さん。僕は昨夜不思議な夢を見たから話そうと思って来たんです。」
兄は驚いた風で、少し急込んで、
「お前は、どんな夢を見たんだ。」