秋田 雨雀

三人の百姓

昔、ある北の国の山奥に一つの村がありました。その村に伊作、多助、太郎右衛門という三人の百姓がありました。三人の百姓は少しばかりの田を耕しながら、その合間に炭を焼いて三里ばかり離れた城下に売りに行くのを仕事にしておりました。

三人の百姓の生れた村というのは、それはそれは淋しい小さな村で、秋になると、山が一面に紅葉になるので、城下の人たちが紅葉を見に来るほか、何の取柄もないような村でありました。しかし百姓たちの村に入るところに大きな河が流れて、その河には、秋になると、岩名や山魚が沢山に泳いでいました。村の人たちは、みんな楽しそうに、元気で働いていました。

伊作、多助、太郎右衛門の三人は、ある秋の末に、いつものように背中に炭俵を三俵ずつ背負って城下へ出かけて行きました。三人が村を出た時は、まだ河の流れに朝霧がかかって、河原の石の上には霜が真白に下りていました。

「今日も、はあお天気になるべいてや。」

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