吉川 英治
黒田如水
蜂の巣
一
太鼓櫓の棟木の陰へ、すいすいと吸いこまれるように、蜂がかくれてゆく、またぶーんと飛び出してゆくのもある。
ここの太鼓もずいぶん久しい年代を経ているらしい。鋲の一粒一粒が赤く錆びているのでもわかる。四方の太柱でさえ風化して、老人の筋骨のように、あらあらと木目のすじが露出している。要するに、この御着の城と同時に建った物であることは疑いもない。
吉川 英治
蜂の巣
一
太鼓櫓の棟木の陰へ、すいすいと吸いこまれるように、蜂がかくれてゆく、またぶーんと飛び出してゆくのもある。
ここの太鼓もずいぶん久しい年代を経ているらしい。鋲の一粒一粒が赤く錆びているのでもわかる。四方の太柱でさえ風化して、老人の筋骨のように、あらあらと木目のすじが露出している。要するに、この御着の城と同時に建った物であることは疑いもない。