中谷 宇吉郎

地球の円い話

地球が円いという話は、何も珍しいことではない。今日では大抵の小学生が皆知っている通りである。

もっとも地球が完全な球形であるというのは本当は間違いで、第一に地球の表面にはヒマラヤの山もあれば、日本海溝もあるので、詳しく言えば、凹凸のあることは勿論である。それに中学生くらいならば、地球はそれらの凹凸を平均しても、やはり完全に円くはないので、南北方向に縮んだ楕円形になっていることを知っているであろう。

次に大学生になると、もっとも理学方面の学問を学んでいる連中のことであるが、地球の形を高低平均するといっても意味が曖昧なので、海の平均水準面を陸地の内部まで延長して、いわゆるゼオイドなる平均海面を考える必要があることを教えられる。そして地球の形は楕円体でもないので、擬似楕円体と称すべきであるなどということになる。

更に地球物理学者にきくと、地球の形は、それらのいずれでもないので、「狐の色が狐色である如く、地球の形は地球形である」という返事をされるであろう。

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