中谷 宇吉郎

科学映画の一考察

文化映画の中で特に自然科学を直接対象としたものを科学映画と呼ぶことにする。この科学映画は大別して大体二種類に分けられると思う。

その一つはいわゆる「博物もの」で、色々の動物や植物の生態をうつして見せるものであり、他の一つは「理化もの」とでもいうべきものである。

「博物もの」の中には「蛙の話」とか「蚊の一生」とか「春の呼声」とかいう風なものがある。これらは顕微鏡撮影とか、微速度撮影とかを用いて、普通の人間の眼では見られない現象までよく見せてくれるので、大変面白い。そんな特殊撮影をしなくても、普通では行けない場所とか、大変な辛抱をしなくては見られない生態とかを、いながら楽に見られるので、単に見ものとしても興趣がつきないものが多い。そして日本の科学映画では、この種のものにいわゆる珠玉篇が相当ある。

もっともこの種の映画は、既に外国、特に独逸で盛に作られ、その手法が出来上っているので、比較的楽に立派なものが出来るのであろう。

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