小川 未明

いいおじいさんの話

美しい翼がある天使が、貧しげな家の前に立って、心配そうな顔つきをして、しきりと内のようすを知ろうとしていました。

外には寒い風が吹いています。星がきらきらと枯れた林のいただきに輝いて、あたりは一面に真っ白に霜が降りていました。天使は見るもいたいたしげに、素跣で霜柱を踏んでいたのであります。

天使は自分の身の寒いことなどは忘れて、ただこの貧しげな家のようすがどんなであろうということを、知りたいと思っているふうに見えました。家の内にはうす暗い燈火がついて、しんとしていました。まだ眠る時分でもないのに話し声もしなければ、笑い声もしなかったのであります。

このとき、ちょうど同じ村に住んでいる、人のいいおじいさんが、山の小舎でおそくなるまで働いて、そこを通りかかったのであります。そして、おじいさんは天使を見ると、そばへいってどうしたのかと問うたのであります。

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