小川 未明
おばあさんと黒ねこ
いまでは、いい薬がたくさんにありますけれど、まだ世間が開けなかった、昔は、家伝薬などを用いて病気をなおしたものであります。
この話も、その時分のことで、雪の降る北の国にあったことでした。
おじいさんは、働いて、たくさんのお金をおばあさんに残して、先へこの世の中から去ってしまった。後に残されたおばあさんは、独りさびしく暮らしてゆかなければなりませんでした。
おじいさんとおばあさんの間には、ただ一人の子供もなかったのです。おばあさんは、おじいさんの残していってくれた、たくさんのお金がありましたから、なに不自由なく暮らしていくことができました。