小川 未明
なつかしまれた人
町の運輸会社には、たくさんの人たちが働いていました。その中に、勘太というおじいさんがありました。まことに、人のいいおじいさんであって、だれに対してもしんせつであったのであります。
若いものたちがいい争ったりしたときは、いつもおじいさんが中にはいって仲裁をしました。
「まあ、すこしのことでそんなに怒るものでない。ここに働いているものは、いわば兄弟も同じことだ。たがいに力になり、助け合うのがほんとうだのに、争うということはない。すこしくらい腹がたつことがあっても忘れて、仲よくしなければならない。」といいました。
おじいさんに、やさしくいわれると、だれでもなるほどと思わずにはいられませんでした。そして、自分たちのしたことがまちがっていたと気づくのでありました。