小川 未明
初夏の空で笑う女
あるところに、踊ることの好きな娘がありました。家のうちにいてはもとよりのこと、外へ出ても、草の葉が風に吹かれて動くのを見ては、自分もそれと調子を合わせて、手や足を動かしたり、体をしなやかに曲げるのでした。
また、日の輝く下の花園で、花びらがなよなよとそよ風にひらめくのを見ると、たまらなくなって、彼女は、いっしょになってダンスをしたのであります。
両親は、自分の娘をもてあましてしまいました。母親は、ダンスなどというものは、きらいでありましたから、
「もう、これほどまでいって、それでも聞かないで、踊りたいなら、おまえは家にいないほうがいいから、かってにゆきたいところへいって、踊りたいだけ、踊ったらいい。」と、母親はいいました。