槙村 浩
野兎の歌
(ふん、芸術家ってものは、獄中ですらきれ/″\ながら守りたてゝいる組織を、あまり勝手に外で、解散しすぎるぢゃないか。そんな組織なら連袂脱盟して政治専一にしろよ。――と言った別れしなの獄内の同志の言葉を僕はなだめかねた。)
ある特殊の野兎たちは集まり、手分けし野兎たちを組織しできるだけ多くの同僚を野兎にしようとする彼等は前足の陰のみづかきみたいなものでまじめに何かしきりに、書いては消し、消しては書きする野兎は芸術をもっている!
野兎は火のもえた、炉ばたと野兎の畠を荒らす、黒い頬冠りをした猟師たちに宣戦した野兎は猟師のように、山刀と鉄砲を持ち、猟師のように整然たる隊伍をもちたいと思っただが、野兎は束にしてひっくゝられ、猟師の四角や六角の穴倉にひったてられた穴倉の野兎は手錠をはめられたみづかきの先をびく/\ひきつらせながら彼等の詩を歌いつゞけた残されたすみかの野兎はちらばった部署の陰で、彼等のみづかきをあげて陰から猟師にはいちゃいした
野兎のあるものはみづかきを不自由にされていることは、生活を不自由にされていることよりも辛いと思った野兎はみづかきを持つことが、野兎の種の特徴としてあるまじきことを宣言し家犬えの非合法な脱獄が野兎からの合法的な脱獄だとしゃれこんだ