江見 水蔭
探検実記 地中の秘密
――氷川社内の一小破片――それが抑もの初採集――日本先住民は大疑問――余は勞働に耐え得る健康を有す――
誰でも知つて居なければならぬ事を、然う誰でも知らずに居る大問題がある。自分も知らぬ者の一人で有つた、それは日本に於ける石器時代住民に就てゞある。
明治三十五年の夏であつた。我が品川の住居から遠くもあらぬ桐ヶ谷の村、其所に在る氷川神社の境内に、瀧と名に呼ぶも如何であるが、一日の暑を避けるに適して居る靜地に、清水の人造瀧が懸つて居るので、家族と共に能く遊びに行つて居たが、其時に、今は故人の谷活東子が、畑の中から土器の破片を一箇拾ひ出して、余に示した。
まさか余は、摺鉢の破片かとも問はなかつた。が、それは埴輪の破片だらうと言うて問うて見た。