江見 水蔭

探検実記 地中の秘密

――初めての發掘――權現臺の歴史――貝層より石棒――把手にあらで土偶――元日の初掘り――朱の模樣ある土器――奇談――珍品――地主と駄菓子――鷄屋の跡――

太古遺跡の發掘に、初めて余が手を下したのは、武藏の權現臺である。それは余の品川の宅から極めて近い、荏原郡大井の小字の事。東海道線と山の手線と合して居る鐵道線路の右手の臺地がそれで、大井の踏切から行けば、鐵道官舍の裏から畑中に入るのである。

余は併し大概蛇窪の踏切の第二の線を越して、直ぐと土手に登つて行くのである。

初心の發掘としては此の權現臺は大成功であつた。無論遺物が豐富でも有つたのだが、宅から近いので、數々[#ルビの「しば/″\」はママ]行き得られたのと、人手が多かつたのも勝利の原因であつた。

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