桜間 中庸
動物列車
空は美しく澄みわたつてゐて、青い西洋皿をさかさにしたやうに山と山との間にかゝつてゐました。
少年は山の中腹の芝の上に寢ころんで空の色に見入つてゐました。この山には煉瓦工場があります。煉瓦工場からは石炭の燃え滓を少年のすぐ近くの傾斜面へトロツコで運んでくるのです。傾斜面は石炭の滓が小さい山が出來てゐました。
少年は、燃え滓の中から、まだすつかり燃えきつてゐない石炭を探して出してメリケン袋に入れるのです。そして、それはいくらかで町に賣られるのです。
少年は、芝の上に寢ころびながらトロツコの響を待つてゐるのです。すぐ足もとのくさむらから小鳥が飛んで出て、チキチキと、かん高い聲をたてて、少年の後の山のあちらの空へ入つてゆきました。