桜間 中庸
獏
獏――私はたまらなくこの字が好きでありこの音が好きである。
バク。ばく。BAKU。
私はいつも斯う口すさんで見る。夢を食ふけもの――これがバクの内容である。このロマンチックな内容を持つたけもの。私の想の中にクツキリ生きてゐるけものに會ふ機を私は偶然拾つたのである。
或る動物園の午後。たしか冬だつたと思ふ。私は日當りのいゝベンチを選んだ。五六間右には噴水がボソボソ水音をたててゐて、おしどりが月並に一つがひ岩の上で仲よくうづくまつてゐた。
桜間 中庸
獏――私はたまらなくこの字が好きでありこの音が好きである。
バク。ばく。BAKU。
私はいつも斯う口すさんで見る。夢を食ふけもの――これがバクの内容である。このロマンチックな内容を持つたけもの。私の想の中にクツキリ生きてゐるけものに會ふ機を私は偶然拾つたのである。
或る動物園の午後。たしか冬だつたと思ふ。私は日當りのいゝベンチを選んだ。五六間右には噴水がボソボソ水音をたててゐて、おしどりが月並に一つがひ岩の上で仲よくうづくまつてゐた。