百田 宗治

君達に送る――新しい民衆の精神

いま僕は君達に書く、最も新しい名で君達をよび、僕のあらゆる精神をこめて。

君達は知っているか、いま僕等がどんな時代にいるかと云うことを、いま時代がどんな方に動いているかと云うことを、おお君達の生誕を待っていた世界、君達はあの声をきくだろう、澎湃として起ってくる声、いまや世界のあらゆる隅々から、あらゆる国土を充して、すべてのものの胸を開かしめる、新しい民衆の精神を。

おおいま君達を求めてきたこの声、君達の窓の外に一杯になっているこの声、あらゆる国語で、あらゆる個々の発想で、いまや世界を領有しにゆく声、六合を一切の迷蒙から救いにゆく声、あらゆる文化の偶像を根本から転えすこの声、自由と新しいこの声。

おお君達は耳傾ける、おお君達が求めつつあったものは之れだ、君達の精神のうちに鬱積しつつあったものは之れだ、おお既に君達はこの声を叫んでいたのだ、君達の生命は既にこの精神のうちに目ざめていたのだ、ここに生きつつあったのだ、新しい生命に充されていたのだ。民衆!何と力強い人間の言葉だ、一切の誤った文化の迷蒙から剥脱した真人、宏大なるマッス、めざめた精神、それは深く開かれた人間の眼だ、新しい精神だ、鬱積していた久しい土上の爆発だ、埋れていた真の人類の覚醒だ、新しい相互扶助の世界だ、正しい人類の意志だ、正しい針路だ。

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