百田 宗治
五月祭の朝
今日は五月一日だ、五月祭の朝だ、空はほがらかに晴れ、大気はおだやかな海のように澄んでいる、飛び散る一片の雲もない、――近くの小学校で生徒達の唄う声がきこえる。
今日は五月祭の行われる日だ、世界の労働者達が結束して示威運動を行う日だ、彼等が幾度か血で血を洗い、同胞の生命を犠牲にした贖いを求める日だ、額に汗するものの、正当の権利を叫ぶ日だ――。
(私は知っている、彼等と彼等が楯つくものとの間のいたましい紛糾の爆発を、相せめぎ合うこの地上の階級と階級の戦いを、おそらく永遠に停止されないであろう是れらの避けがたい軋轢を、自由と正しい権利への希求の声を、地上に平等であるべき生活権の最後の保証を!あらゆる圧制よりの生存の解放の叫びを!
……用意されたものと用意されたものとの避けがたい争闘の過程を、あらゆる計画と、予定と、巧妙を極めた運動と、駆引と、圧迫とさまざまの非常手段を。