槙本 楠郎

おふくろへ

おふくろよおれは おまえまでそう かわっていようとは おもわなかったまえば が 一ぽんしか のこっていなかったというのではないあたま が まっしろになっていたからというのでもないまた こし が ひんまがっていたからというのでも むろん ないおふくろよおれは あのばんおまえが もりあげて だしてくれる むぎめしのしみて ざくろのみのように ポツポツするやつをやぶれしょうじ の なかにはった ねまきのまえで かきこみながらおまえから きいたあの いえをこわされるときのはなし――ドンドンと かべをたたく きづちのおとがむないた を たたかれるように いたかったことそのために おまえが びょうきしたことだが びょうきがなおってから そうぎがはじまるとおまえまで えんだんに はいのぼったことそのとき しんけいつうで ねていた おやじまでが「ばあさん しっかりたのむぞ!」と はげましたということ…………そんな かずかずの ものがたりをきいているとおふくろよおれは ほんとに むぎめしが のどにつまったよほんとに よのなかはかわったな と おもったよおふくろよおれは おまえもよくしってるとおり 五ねんまえかんどう どうようの しうちをうけておまえたちや むらのやつから むらを おいだされた おとこだっただが おふくろよだが いまでは むらのやつも おまえたちもみんな このおれを したしくむかえてくれたのじゃなかったかかわったな おふくろよおれは どんなきもちがしたとおもう?おれは なみださえにじみでたぞそれはなんのためだ?みんな びんぼうのためじゃないかびんぼうは むらのやつらをも おまえたち

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