広海 大治

サガレンの浮浪者

ただようてくる温ったかい三平汁の香堪え兼ねて牧草の束に顔を埋めるしのびよる背筋の冷さ浅い眠りの夢は破れるああ! 一杯の飯を食いたい

赤い毛布を巻きつけた むくんだ足寒気は骨の中まで突き通す伸び放題の鼻ひげに呼吸は霜をたくわえ鼻孔はきんきんとひからびる

破目板の隙間から躍り込む風小屋に舞う雪神楽やがて粉雪はうず高く層を重ねる辛うじて乾草の小屋に宿り打ち震え闇の中に聞く猛けるサガレンの夜の吹雪

凍れる大地の呻きを聞き凍傷の指先にガンジキの紐結び北極星の白い光を仰ぎ見た幾夜かたった一尾の干鱈を盗む為に野良犬のように漁場の闇に足音忍んだ沢の百姓のささくれた手から馬鈴薯貰い露命支えた幾日であったか

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