吉川 英治

新・平家物語

貧乏草

『平太よ。また塩小路などを、うろうろと、道草くうて、帰るではないぞ』

使の出がけに、清盛は、父忠盛から背へ喚かれた。――その声に、たえず背を追われているようなかれの足つきだった。

何といっても、父は、こわい。おととし、保延元年である。その父親について、かれは初めて、四国、九州へまで渡った。

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