小川 未明
ごみだらけの豆
地震のありました、すぐ後のことであります。町には、米や、豆や、麦などがなくなりました。それで、人々は、争って、すこしでも残っているのを買おうとしました。
ある乾物屋では、こんなときにこそ、小舎をそうじして、平常落ちている豆や、小豆などを拾い集めて、売ってしまわなければならぬと思ったのです。主人や女房は、小舎の中をはいて、きれいに、落ちている豆や、小豆を一ところに集めました。それは、かなりたくさんな量があったのです。大きな器の中に入れて、店に出しておきました。
美代子は、外から、家へ帰ると、
「お母さん、いま、町の一軒の乾物屋にたくさん白い豆がありましたから、早く、なくならないうちに買っておきましょう。」といいました。