長沢 佑

親父の言葉

この頃の寒さに足腰の痛みにわしは憶い出すんだ忰のことがやっぱり親子のつながりだわい

「お前等にもわかる時が来る」今になって彼奴の言葉が身に滲みてくる彼奴の云ったこと彼奴のやって来たことやっぱり貧乏人のやらねばならんことだったのだ

憶い出すと身震いがする彼奴の入営した翌年春の大争議にわしら四百の小作は××川の土堤で警官と軍隊に取り巻かれた鍬が飛んだ、石が飛んだ剣が抜かれたそしてわしまでしょっぴかれたんだ

地主小作の争いに軍隊が飛び出したあれから村が変って来たんだわしのあたまも嬶のあたまも警察は地主の犬幾どの争議でわし等は知ったそんだがわし等はたまげたまったくたまげて終うた軍隊も地主の犬――わし等は一時この世がどうなるかと思った

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