野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、あつしの身體が匂やしませんか」

ガラツ八の八五郎が、入つて來ると、いきなり妙なことを言ふのです。

九月のよく晴れた日の夕方、植木の世話も一段落で、錢形平次は暫らくの閑日月を、粉煙草をせゝりながら、享樂して居る時でした。

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